2014年09月16日志について
私は小学三年生の時、東京に出て社長になる、とガキ大将の仲間たちに宣言し
ていた・・・まさしくこれが私の「志」となる。
龍は大空を飛び、大地に恵みの雨、育みの雨を降らせることで、民を幸せにす
る。そのために何百年、何千年もの間、湖の奥深くにひそみ「確乎不抜の志」
を立てる。これを易経では潜龍という。
そして何百年、何千年の時を経て、「志」を持った龍はやがて飛龍となり、
「確乎不抜の志」を遂げるのである。私はこの龍の物語を読むたびに「志」の
大切さを教えられる。
ある冊子に「志」について次のようなことが書いてあった。道元禅師と弟子と
の対話である。
弟子は、道元禅師に「志」について次のように尋ねた・・・「人間は皆、仏性
を持っていると教えられるが、仏性を持っているはずの人間になぜ成功する
人としない人がいるのか」
「教えても良いが、一度自分で考えてみろ」と言われた。道元の答えに弟子は
一晩考えたが、良くわからない。翌朝、弟子は師に再び聞いた。「昨晩考えま
したがやはりわかりません。教えてください」
「それなら教えてやろう。成功する人は努力する。成功しない人は努力しない。
その差だ」
弟子は、ああそうか、と大喜びした。だがその晩、再び疑問がわいた。仏性を
持っている人間にどうして努力する人、努力しない人が出てくるのだろうか。
翌日、弟子は、また師の前に出て聞いた。
「昨日は分かったつもりになって帰りましたが、仏性を有する人間にどうして
努力する人、しない人がいるのでしょうか」
「努力する人間には志がある。努力しない人間には志がない。その差だ」
道元の答えに弟子は大いに頷き大いに喜び、小(こ)躍(おど)りしながら家路に
つく。しかしその晩、またまた疑問がわいた。仏性のある人間にどうして「志」
のある人とない人が生じるのか。
弟子は四度、道元禅師の前に出て、その事を問うた。道元は言う。
「志のある人は、人間は必ず死ぬということを知っている。志の無い人は、人
間が必ず死ぬということを本当の意味で知らない。その差だ」と道元禅師は言
った。
この道元禅師の答えに私の解説を挟む余地はない・・・「志」の奥深さと「志」
を持つことの大切さをあらためて知る思いである。
感謝、有り難うございます。