2015年04月20日「躍龍」の時代
龍の成長の第四段階の時期は、「あるいは躍(おど)りて淵(ふち)に在り、咎(とが)なし。
あるいは躍(おど)りて淵に在りとは進むも咎(とが)なきなり」となります。「独自の世界」
を創る手前の試みの段階です。
今まさに大空に舞いあがろうとする龍を「躍(やく)龍(りゅう)」と言います。「躍龍」は、
大空を悠々と駆け巡る飛龍のほんの一瞬手前になります。
龍が空を飛ぶことは、物事の達成を意味します。そのために、時には飛躍を試み、時には
深い淵に退いて、初志をたがえていないかを内観する時です。
ある時は跳躍し、ある時は深く内省して自らを省みる。目的達成のためには、必ず「試行」
が必要である。「試行」とは、多少力足らずと思うことも取り組んでみることで自分を試し、
やってきたことが間違っていなかったかを省みることです。それによって自分自身を試験
し、評価して足りないところを補っていきます。
躍龍が淵にある間は、さらに謙虚に己を省みる事で実力を養い、その地位あるいは成功を
保つことが出来るといいます。
躍龍の段階では、すでに実力は十分に備わっています。しかし、志したものを達成できる
かどうかは、実力だけではありません。飛龍になるには実力や才能に加え、「時」、つま
り好機をとらえなければなりません。「躍龍」の段階は機をとらえようとする時になりま
す。
すでに自分なりの技や創意、世界観を築いて最後の仕上げの一歩手前です。そして跳躍
(ちょうやく)のタイミングをはかり、独自の世界を極める段階になります。「跳躍してまた
深い淵に退く」と言う意味は、一度は躍り上がるが、これでいいのかという確認のために潜
龍がいた淵まで降りて、志の確認を行うためです。
「志」したものに到達するまでには、時々において、スランプに陥る事がよくあります。
好調と不調の波があり、不安定に大きく上下するのが躍龍の時代です。躍龍の時代はこの
不安定さがとても大事であり、これが良いと言われます。そういう「揺らぎ」の中で、潜
龍の「志」と「基本」となる、創意工夫の技をまとめ上げ、進むべき道を再確認すること
です。
躍龍は、何度かのスランプを乗り越える事で、より一層の力をつけていきます。そしてそ
の落ち込みをバネにして天に舞い上がり、飛龍となります。
大切なことは、躍龍の段階で「徳を修め、言葉を修め、業を修める」ことです。何故、「躍
龍」の段階で「徳を修め、言葉を修め、業を修める」必要があるかと言えば、飛龍になる為
の準備を怠りなくすることです。
何故なら躍龍から飛龍に成るには「徳を修め」、「言葉を修め」、「業を修め」、なければ
飛龍となることは出来ないからであります。
感謝、有り難うございます。
次回、「飛龍」に続く